Zoho CRM 導入時に置き去りにされがちな重要なこと

最近 Zoho 製品にふれることがあるので、いろいろと備忘録として残しておきたいと思います。あくまでも自分の考えなので、100%正しいとは限らないことあらかじめご了承ください。

目次


読んで欲しい人

  • CRM の導入を検討をしている、またはZoho CRM を評価している人


Zoho CRM 導入において重要なこと

Zoho CRM に限らず CRM(顧客関係管理)製品を利用する際に重要なことは、"CRM を利用してなにをしたいのか。なにを達成したいのかを考えること"などたくさんあると思います。


その中でも "CRM の設計思想を理解する" は置き去りにされがちな視点ではないでしょうか。


"設計思想"というとすこし難しいイメージがありますが、ようは "どのような利用を想定して製品が作られているかを理解する" ことです。


(さっそく余談ですが、日本の IT 利用者は運用を製品にあわせることが苦手なように感じます。製品を運用にあわせるようにするために度が過ぎたカスタマイズが横行し、それがブラックボックス化した結果、様々なコストがかかる状態に陥っているような感じがします...また海外のパッケージ製品や SaaS は、グローバルスタンダードにあわせて作られていることが多いです。そのため運用をグローバルスタンダードに合わせた方がこの時代はのちのち楽です。運用に戦略的価値があるならば話は別ですが。)


Zoho CRM を理解する

結論から述べると、これから CRM を利用する方は、次の 2 つのことを理解することが活用の第 1 歩目です。

  1. タブの意味を理解する
  2. データの流れを理解する


1.タブの意味を理解する

たくさんのタブがありますが、最初は次の 4 つのタブを理解しておけば十分だと思います。


見込み客
見込み客とは、ビジネスの対象になるかどうか確定してない人です。例えば、展示会で取得した来客データや WEB サイトから資料ダウンロードを行った人などです。

つまり、顧客として扱うべき対象なのかそれとも対象ではないのか(いわゆるジャンクリード)なのかを判断するステージが見込み客タブです。


連絡先
連絡先とは、ビジネスの対象として確定した相手側の担当者です。次に紹介する取引先と関連付けて管理していきます。


取引先
取引先とは、ビジネスの対象として確定した会社です。取引先と連絡先は、基本的に 1 対多の関係です。もし B2C の企業であれば、当該タブを利用しないところも多いと思います。


商談
商談とは、案件です。この辺の定義は組織によって異なると思いますが、ステージ管理したいものや売上として扱いたいものを管理するタブです。


端的にまとめると...

見込み客:人(精査未完了)
連絡先:人(精査済み)
取引先:会社
商談:案件

のようなイメージです。


2.データの流れを理解する

上記にて見込み客とは、ビジネスの対象になるかどうか確定してない人と説明しました。では、確定した場合はどうするのでしょうか。


その場合は、見込み客のデータを 変換 することで、連絡先や取引先に移動させます。つまり、Zoho CRM 上の運用の流れとしては、下記のような感じです。


見込み客 --変換--> 連絡先/取引先/商談1


この流れを理解しないで CRM を利用すると、"せっかく導入したのにあまり活用できない"という事態に陥ります。例えば、"見込み客タブにデータを入れたけど、商談と紐づかないから困ってる"というのは製品を理解していないので困るのは当たり前です。


もちろん上記は"基本の流れ"なので、見込み客タブや取引先タブを利用しないという組織もあるかと思います。しかし、精査された見込み客を連絡先に移動し、その後で商談などを関連付けて管理していくという基本は押さえておくべきポイントです。

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データの流れ


余談:見込み客の変換について

せっかく変換に言及したので、見込み客の変換を実施する前に知っておくべきこと紹介します。


変換の際に注意すべきことは、 一度連絡先に変更すると見込み客に戻すことはできない ということです2。 つまり、一度ビジネスの対象になった顧客(見込み客から変換し、連絡先に移動させた顧客)は、その後疎遠になった場合でも見込み客に再度移動させることが出来ません。


「その場合、連絡先タブに要らないデータも溜まっていくじゃん...」という思うかもしれませんが、その点について問題ありません。溜まっていくこと自体は、削除しない限り避けることは出来ませんが、Zoho CRM のタブでは、ビューやフィルターという機能を利用できます。それらの機能を利用することで、例えば優先順位が最下位の連絡先は表示しないなどのフィルタリング表示ができます。


見込み客の変換の関連付け機能など、正直この変換だけで1つの記事が書けるレベルですが、最初は大枠を抑える方がいいと思うので本記事では割愛します。


まとめ

すこし脇道に逸れてしまいましたが、CRM の利用をはじめる前に "どのような利用を想定して製品が作られているかを理解する" ことが重要です。もちろん他にも重要なことはありますが、今回言及した視点は少し軽視されがちにも関わらず、活用する際には重要になってくる視点です。この部分の理解が浅いために十分な活用ができなく営業や上長から文句を言われたり、もう一度データを入れ直すような手間ははできるだけ避けるべきです。(自戒)


"製品を理解する"といっても、何を理解すればいいのでしょうか。個人の経験では、本記事で紹介した "1.タブの意味を理解する""2.データの流れを理解する" の 2 つの内容をまずは知っておくことでスムーズな活用ができるようになると思います。


ではでは、よいZOHOライフを! Until next time, goodbye!



  1. 見込み客にて会社が入力されいない場合は、取引先は作成されません。また商談の作成は任意です。つまり、変換の際に新しい商談作成するかを選択できます。

  2. 2021 年 5 月時点